実践的資金調達原論 「思うように資金調達ができない方へ」worldheritage512_2_20120529004622.jpg

2014年09月01日

債権譲渡禁止特約と第三保証人融資

今日のタイトルの債権譲渡禁止特約と第三保証人融資は近い将来なくなる方向にあります。

まずは、債権譲渡禁止特約。
債権譲渡禁止特約とは、売買契約において、当事者間で当該債権を譲渡しない旨の特約が為されていた場合には、その債権は譲渡できないことになる特約のことです。
これが認められていることで、多くの中小企業は大企業との取引において、有効な資金調達の手段であるファクタリングが事実上できなかったのです。
特にゼネコンと下請けの力関係の中で、この特約が民法上認められていることでは、多くの下請けの建設会社の資金繰りを悪くしている大問題でした。
特に、ここ何年にもわたる緊縮財政一辺倒、公共事業悪玉論などによって、下請けの建設会社の業績が悪化し、銀行からの融資が受けにくい状況の中、このような大企業の優先的地位乱用とも思える特約の存在を容認してきたことは、経済を活性化や雇用改善の大きな阻害要因になっていたのです。
実際、弊社の案件でも、この特約の存在で資金調達ができない中小企業の数は膨大でしたから、この特約が認められなくなる民法改正は大歓迎です。

ただ、問題は、大企業の意識にも問題があります。
現在でも、この特約があっても、債務者である大企業が債権譲渡を承諾すればファクタリングはできるのでですが、中小企業が大企業のご機嫌を損ねて取引がなくなってしまことを懸念し、断念しているケースが非常に多いのです。
実際、債権譲渡承諾を得ようと大企業に話をしたところ、取引の停止を言われて、慌てて撤回したケースも多々あります。
だから、いくら民法が改正され、債権譲渡禁止特約が認められなくなっても、債権譲渡を言った途端、取引を停止されるようなことになると、事実上、中小企業はファクタリングが利用できないことになって、現在の状況と何ら変わらないことになってしまいます。
だから、債権譲渡禁止特約が民法上なくなることは大歓迎ですが、このことがイコールファクタリングの活性化につながらない懸念も存在します。
大企業の優先的地位乱用を社会的に牽制する世論を喚起して、経済活性化と雇用改善につながるようにする運用面が大切だと思います。
とは言え、この特約自体なくなることで、旧ガリアプラスの手法のABLは使いやすくなることも事実ですし、大企業の意識も法改正によって、少しずつであっても変化していく可能性は高く、債権譲渡禁止特約が民法改正でなくなることは大歓迎です。
  
そして次は第三者の保証人の保証による融資の禁止についてです。

これについては最近の2013年2月18日付毎日新聞の記事をご覧ください。 

<法制審>個人保証原則認めず 中小企業融資で民法改正検討
銀行や貸金業者が中小企業などに融資する際に求めてきた個人保証について、法制審議会(法相の諮問機関)が原則として認めないとする民法改正案を本格的に検討することが分かった。個人保証は事業者の資金調達を容易にする半面、善意で保証人を引き受けた人が高額の請求を受け、自己破産や自殺に追いやられる悲劇も生んできた。検討通りの民法改正が実現すれば、長年の慣行が根本から見直されることになる。

 法制審は09年、明治時代にできた民法の契約・債権分野を今の時代に合ったものに改めるよう、当時の千葉景子法相から諮問され、専門部会を設けた。個人保証を原則無効とする改正案は近く部会がまとめる中間試案に盛り込まれる見通しで、事務局の法務省民事局は試案を最終案までの「7〜8合目」と位置づけている。

 部会では個人保証の中でも、経営者本人が会社の債務を保証する「経営者保証」は例外として認める案が検討されている。ただし、会社の返済が滞り経営者が貸手から裁判を起こされた場合、裁判所が経営者の支払い能力などを考慮して保証債務を減免できる救済制度の新設などを考える。

 一方、住宅ローンやアパートの賃貸借契約、奨学金の借り入れなどで求められている個人保証は今後も認め、契約時に借り手の債務や財産の有無などを保証人に説明するよう、貸手に義務付けることを検討。説明義務を果たさなかった場合は保証契約を取り消すことができるとする。

 また、保証契約の成立後も(1)保証人の問い合わせに応じて借り手の債務残高を伝える(2)借り手の支払いが遅れた際はできるだけ速やかに保証人に知らせる−−などの情報開示を義務付け、怠っていた間の遅延損害金は受け取れないような仕組みも検討される見込み。

 中間試案の公表後は、法改正の原案となる改正要綱案の作成を目指す。要綱案の取りまとめには1年以上かかるとみられ、民法改正案の国会提出は再来年以降となりそうだ。【伊藤一郎、井上英介】

 ◇個人保証

 中小企業などが融資を受ける時に「会社が返済できなくなったら代わりに自分が返す」と、個人が貸手に約束すること。経営者自身や家族、親類、友人が保証人になることが多い。ほとんどのケースは、保証人が債務者と同じ立場で無条件で請求に応じなければならない「連帯保証」となっている。
  

この件は予てから日本の金融の非近代性を現す慣行として、その変更が待たれていたことは事実です。
だから、総論は賛成です。
ただ、この第三者保証によって資金調達ができていた中小企業が多いのも事実で、景気状況や、中小企業の資金調達環境の実態をよく見て実施されないと、逆に、民法改正が、中小企業の資金調達の有効な手段をなくしてしまうことにもなってしまいます。
アベノミクスも現実的な対応が過ぎて、景気と雇用問題の動向は不透明です。
だから、中小企業の資金調達の環境とはずれがあるから、この実態をよく見ながら運用をしてもらいたいと思います。 
posted by bhycom at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 資金調達 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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