実践的資金調達原論 「思うように資金調達ができない方へ」worldheritage512_2_20120529004622.jpg

2014年10月19日

中小企業の資金調達 3

中小企業の資金調達も3回目ですが、今回からはよくある中小企業の様々な状況を設定して話を進めて行きたいと思います。
業績や財務内容が比較的良い会社から、悪化している会社。
時間的にも余裕がある会社から、切羽詰った状況の会社。
資金調達の難易度が比較的簡単な会社から、難易度の高い会社の順で話を進めていく予定です。

今回は、資金調達の多様化を図る編です。
比較的余裕がある会社の課題についてです。
私も体験しましたが、いくら友好関係にある金融機関でも、相手がメガバンクとか有力地銀ともなると、銀行の方針変更で、対中小企業への対応が急に変更されるような懸念があります。
それはあなたの会社の規模がそこそこでも、メガや有力地銀の規模から言うと、あなたの会社1社なら影響力が特に大きいわけではありませんし、もしあなたの会社が破綻懸念の状況になったら、このようなでかい規模の銀行は、その収益力の大きさから簡単に償却できる体力があって、急にあなたの会社を切り捨てるような行動を起こす懸念が存在するのです。
信金や信組の場合は、中小企業の規模の会社でも影響力は小さくなく重要な顧客ですから、急なドライでドラスティックな切り捨てるような対応をすることは少ないと言えるのです。
もう20年以上前になりますが、私も体験しています。
私は90年代のバブル崩壊前までは、不動産開発及び不動産賃貸業を某都市銀行(当時はメガバンクのことを都市銀行と呼んでいました)との密接な関係で経営していました。
今ならありえないと思いますが、総資産700億円程度の、当時で言えばそんなに大きな規模と言えない会社であった私の会社でも某都市銀行と、電話一本で20億円程度までなら融資の希望を伝えれば翌日実行されるような関係ができていました。
むしろ、融資額がまだ少ない!もっと不動産投資をしろ!と銀行から尻をたたかれるという、今から考えればありがたい状況だったのです。
そしてご存知のとおりバブルが崩壊します。
そのきっかけとなったのが、財務省と日銀の不動産関連融資の総量規制に代表する急激なお金の締め付けや法改正でした。
不動産関連融資の総量規制とは、金融機関に不動産関連融資を前年度よりも小さくするように指導する規制です。
後年になって分かったのですが、その頃十数行あった都市銀行で総量規制を本当に守ったのは私が取引をしていた銀行だけで、他の都市銀行はすべて、前年度よりも微増でした。
この結果、顧客にとってはどのようなことがあったかというと、私の場合、当時、毎年10棟程度のマンションや商業ビルの開発をしていました。
だから総量規制だといわれても、土地の投資は控えたとしても、建築中のマンションや商業ビルはあるわけで、建築を急にストップすることはできないのです。
でもこの銀行は一気に建築費の融資をストップしたから悲劇でした。
一部はノンバンクに肩代わりさせましたが、大半の案件は勝手に解決しろと、まあ顧客本位もくそもあったものではないような対応に終始したのです。
だから、この銀行は総量規制が遵守できたのですが、私のような顧客にしてみればいい迷惑だったのです。
たらればの話になりますが、もし私が他の銀行と取引をしていたら、ここまでのドラスティックな対応はなかったと思います。
あるいは、他にも懇意の取引銀行があり、1行取引ではなく、2行取引あるいは3行取引していたら、状況はかなり違ったものになっていたと思います。
残念ながら、私の場合は他に地銀1行と取引がありましたが、とても都市銀行の代わりになるような関係ができていなかったのです。
以上話したことは、決して不動産会社とか、バブル崩壊の特殊な時にのみ言える話ではありません。
今の資金アレンジの仕事を始めて15年以上経ちましたが、一行取引が原因で不利な銀行取引を余儀なくされた会社を結構見てきました。
前回の記事で、1行取引を奨めるようなことを書いていますが、あなたの会社が、ある程度規模が大きくなり、業績も財務状況も良く、取引銀行と非常に密接な関係ができている状況なら、ぜひ、既存取引の銀行の代替が可能な別の銀行との取引を構築することをお奨めします。
もちろん、既存取引銀行は良い顔をしないけれど、販売先の都合とか何とか言って、まずは入金口座の分散からスタートします。
毎月、ある程度の入金が定期的にある口座が他行にできれば、あなたの会社の状況に変化がなければ、融資を受けることができます。
そして、今度は融資を分散していくことで、2行取引ができ、こうなれば1行取引の時のよりも対銀行に対する交渉力ができてくるから、銀行の方針変更による急激な対応にも対応することができるようになるのです。
それから、もう一つ、今からする話は他でもよくお聞きになることかもしれません。
それは、銀行取引はメガ1、地銀1、信金1といった取引状況が理想的という話です。
これはこれで正しい話です。
メガよりは地銀や信金のほうが、普段の対応は小回りが利くことは確かですし、大きな経済状況の変化があっても、その変化とは90年代のバブルや、ITバブルやリーマンショックのような状況を指しますが、都市銀行やメガや大手地銀の対応は実にドラスティックだったけれど、中堅以下の地銀や信金の大きく変わらない対応で救われたという話を聞いたことはありませんか?
この話はすべての中堅地銀や信金であった話とは言えません。
90年代のバブル崩壊の時のように、金融機関自体の経営がおかしくなった時は、あなたの会社に変わらぬ対応をしようという気持ちはあっても、金融機関自身の経営の問題でできなかったところも多々あったから、中には、中堅地銀も信金も役に立たなかった言う方もいらっしゃるかもしれません。
とは言え、複数行との取引があったことで破綻を避けることができたケースは多々あります。
今日お伝えしたかったことは、取引銀行と密接な関係が構築できたら、業績が良く財務状況の良い中に、複数の別の銀行や信金と融資を伴う取引ができるようにしておくことです。
この結果、取引銀行の急激な方針変更に対応でき、取引銀行への交渉力が生まれます。
もちろん、現在の取引銀行を怒らせないよう上手くやらなければなりませんが、あなたの会社が良い会社であれば良いほど、銀行との複数取引は重要なリスク管理になります。
posted by bhycom at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 資金調達 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。