実践的資金調達原論 「思うように資金調達ができない方へ」worldheritage512_2_20120529004622.jpg

2014年10月07日

債権譲渡禁止特約と第三保証人融資 「建設業法の改正も」

前回の 債権譲渡禁止特約と第三保証人融資 の債権譲渡禁止特約について、貴重な捕捉情報を、このブログを書き始めて間もない頃、読者からお客様になっていただいた建設会社の経営者からいただきました。
この経営者の方は、以前民事再生を体験しながら、本当に立派に復活、発展され、今では銀行から毎年数億円の融資のコミットメントラインを獲得するまでになられた、常日頃から敬服している経営者です。
私にしても懇意の金融会社にしても、見る側がどうしても利用客の立場から見てしまいますので、今回指摘いただいた情報はとても貴重です。
ぜひご一読ください。

『本日読んだブログの中で 「債権譲渡禁止特約と第三保証人融資」の民法改正の記事がありましたが基本的に大賛成ですが、債権譲渡禁止特約には建設業ならではの問題点があることを補足さ
せてください。
今現状ほぼすべての公共事業の契約約款の中では債権譲渡の禁止及び特例で、基本的には債権譲渡の禁止、ただし発注者が認める協同組合に対してのみ債権譲渡を認めるということになっております。
これはオイルショックの時に建設業者が苦しんでいる時の救済案で、協同組合の資材共同購買を助けるために作られた約款がそのまま残っていたと聞いております。
バブル崩壊後中小建設業者が金融機関からの資金調達が困難になり、たまたま残っていた条文を活用して、国交省が認めた協同組合に債権譲渡ができる「下請けセーフティネット制度」として活用され、現状弊社も含めて大いに活用させていただいております。
    
しかしここでの問題点は2つあります。
@公共事業を直接受注できる元請け業者しか適用されず、弊社はこの制度が活用できることから下請け業者に1か月以内に  労務費の出来高を毎月現金支払いをしておりますが、セーフティネットで融資を受けた後の下請け支払いに関しては融資の際に  提出する簡易的な支払予定明細だけで支払確認もしないため、全額を他の資金繰りに使用することが可能で、この制度が利用されたからと言って、下請け業者にストレートに払われているかはわかりません。
   
A弊社では、下請け業者と契約を結ぶ場合、基本的に債権譲渡禁止特約を設けております。
  弊社は支払方法が1か月以内の出来高現金払いをしているから資金的に問題はないと思います。
  しかし下請け業者が孫請け業者に更に請負契約をする場合(弊社ではまれですが)の問題点があります。
  元請け業者は毎月下請け業者に支払していたのにもかかわらず、下請け業者は孫請け業者に支払いを遅延して倒産してまった場合です。
  民法では一般の商取引とみるので、元請けは孫請け会社に二重払いをする義務はありませんが、建設業法は微妙です。
  
※建設業法第41条3項
「特定建設業者が発注者から直接請け負った建設工事の全部又は一部を施工している他の建設業を営む者が、当該建設工事の施工に関し、他人(孫請以下の業者を含む)に損害を加えた場合において、必要があると認めるときは、当該特定建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。」
  
さらに  国土交通省が監修する『建設業法解説』(大成出版社)という本の中では、「元請による立替払いを求め、それには二重払いも含まれる」と書かれております。
  
これにより、元請け業者は末端までの労務費の支払いが完了するまでの責任を負わなければならないと考えざるを得ません。
厳密に裁判になった場合はどうなるかわかりませんが、元請け会社はある程度のところで妥協して二重払いをしているケースが多いようです。
ですから、スムーズに末端業者まで労務費の支払いをしてもらうためには、毎月出来高を現金払いし末端まで遅延がないかどうか管理することが求められます。
こう考えると、債権譲渡を許して融資金が労務費以外に使用されるのを防がなければなりませんので、やむを得ず債権譲渡禁止をうたっております。
建設業法の改正も含めて考えていただきたいと思いますが、中小企業の資金調達の選択肢が増えることに誰も反対する人はいません。』
    

結論を言うと、建設業法の改正も同時に行われないと、建設業界においては、債権譲渡禁止特約がNGになると、元請け企業にとっては大きなリスクになるのです。
貸金業法の改正は、一元的な視点からだけ見て行われると、実態に合わず、現実的な経済活動に使用をきたすことになります。
この前の改正でも、返済原資が確定している、超短期間の融資にまで、年利15%以内と言うルールを適用したことで、ファイナンス会社がリスクを取れなくなり、この種の融資をしなくなったことで、中小零細企業の資金繰りに大きな支障をきたすことになってしまいました。
このようなことにならないよう、気を付けて改正してほしいと思います。
posted by bhycom at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 資金調達 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

債権譲渡禁止特約と第三保証人融資

債権譲渡禁止特約と第三保証人融資は、近い将来、民法改正でなくなる方向です。
まずは、債権譲渡禁止特約。
債権譲渡禁止特約とは、売買契約において、当事者間で当該債権を譲渡しない旨の特約が為されていた場合には、その債権は譲渡できないことになる特約のことです。
これが認められていることで、多くの中小企業は大企業との取引において、有効な資金調達の手段であるファクタリングが事実上できなかったのです。
特にゼネコンと下請けの力関係の中で、この特約が民法上認められていることでは、多くの下請けの建設会社の資金繰りを悪くしている大問題でした。
特に、ここ何年にもわたる緊縮財政一辺倒、公共事業悪玉論などによって、下請けの建設会社の業績が悪化し、銀行からの融資が受けにくい状況の中、このような大企業の優先的地位乱用とも思える特約の存在を容認してきたことは、経済を活性化や雇用改善の大きな阻害要因になっていたのです。
実際、弊社の案件でも、この特約の存在で資金調達ができない中小企業の数は膨大でしたから、この特約が認められなくなる民法改正は大歓迎です。
ただ、問題は、大企業の意識にも問題があります。
現在でも、この特約があっても、債務者である大企業が債権譲渡を承諾すればファクタリングはできるのでですが、中小企業が大企業のご機嫌を損ねて取引がなくなってしまことを懸念し、断念しているケースが非常に多いのです。
実際、債権譲渡承諾を得ようと大企業に話をしたところ、取引の停止を言われて、慌てて撤回したケースも多々あります。
だから、いくら民法が改正され、債権譲渡禁止特約が認められなくなっても、債権譲渡を言った途端、取引を停止されるようなことになると、事実上、中小企業はファクタリングが利用できないことになって、現在の状況と何ら変わらないことになってしまいます。
だから、債権譲渡禁止特約が民法上なくなることは大歓迎ですが、このことがイコールファクタリングの活性化につながらない懸念も存在します。
大企業の優先的地位乱用を社会的に牽制する世論を喚起して、経済活性化と雇用改善につながるようにする運用面が大切だと思います。
とは言え、この特約自体なくなることで、旧ガリアプラスの手法のABLは使いやすくなることも事実ですし、大企業の意識も法改正によって、少しずつであっても変化していく可能性は高く、債権譲渡禁止特約が民法改正でなくなることは大歓迎です。 

そして次は第三者の保証人の保証による融資の禁止についてです。
これについては最近の2013年2月18日付毎日新聞の記事をご覧ください。

<法制審>個人保証原則認めず 中小企業融資で民法改正検討
銀行や貸金業者が中小企業などに融資する際に求めてきた個人保証について、法制審議会(法相の諮問機関)が原則として認めないとする民法改正案を本格的に検討することが分かった。個人保証は事業者の資金調達を容易にする半面、善意で保証人を引き受けた人が高額の請求を受け、自己破産や自殺に追いやられる悲劇も生んできた。検討通りの民法改正が実現すれば、長年の慣行が根本から見直されることになる。

 法制審は09年、明治時代にできた民法の契約・債権分野を今の時代に合ったものに改めるよう、当時の千葉景子法相から諮問され、専門部会を設けた。個人保証を原則無効とする改正案は近く部会がまとめる中間試案に盛り込まれる見通しで、事務局の法務省民事局は試案を最終案までの「7〜8合目」と位置づけている。

 部会では個人保証の中でも、経営者本人が会社の債務を保証する「経営者保証」は例外として認める案が検討されている。ただし、会社の返済が滞り経営者が貸手から裁判を起こされた場合、裁判所が経営者の支払い能力などを考慮して保証債務を減免できる救済制度の新設などを考える。

 一方、住宅ローンやアパートの賃貸借契約、奨学金の借り入れなどで求められている個人保証は今後も認め、契約時に借り手の債務や財産の有無などを保証人に説明するよう、貸手に義務付けることを検討。説明義務を果たさなかった場合は保証契約を取り消すことができるとする。

 また、保証契約の成立後も(1)保証人の問い合わせに応じて借り手の債務残高を伝える(2)借り手の支払いが遅れた際はできるだけ速やかに保証人に知らせる−−などの情報開示を義務付け、怠っていた間の遅延損害金は受け取れないような仕組みも検討される見込み。

 中間試案の公表後は、法改正の原案となる改正要綱案の作成を目指す。要綱案の取りまとめには1年以上かかるとみられ、民法改正案の国会提出は再来年以降となりそうだ。【伊藤一郎、井上英介】

 ◇個人保証
 中小企業などが融資を受ける時に「会社が返済できなくなったら代わりに自分が返す」と、個人が貸手に約束すること。経営者自身や家族、親類、友人が保証人になることが多い。ほとんどのケースは、保証人が債務者と同じ立場で無条件で請求に応じなければならない「連帯保証」となっている。
  

この件は予てから日本の金融の非近代性を現す慣行として、その変更が待たれていたことは事実です。
だから、総論は賛成です。
ただ、この第三者保証によって資金調達ができていた中小企業が多いのも事実で、景気状況や、中小企業の資金調達環境の実態をよく見て実施されないと、逆に、民法改正が、中小企業の資金調達の有効な手段をなくしてしまうことにもなってしまいます。
実態をよく見ながら運用をしてもらいたいと思います。 
posted by bhycom at 01:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 資金調達 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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