実践的資金調達原論 「思うように資金調達ができない方へ」worldheritage512_2_20120529004622.jpg

2014年09月18日

スカイマーク問題から中小企業の資金調達を考える

ご存知のようにスカイマークが破綻寸前の経営危機を迎えています。

スカイマークの事例は、中小企業の経営を考える上で、非常に参考になります。

ますは少し長いのですが、ビジネスジャーナルのサイトの記事をご一読ください。

   

スカイマークは破綻寸前か?巨額賠償で望み薄の銀行融資、無借金経営が仇に 国管理も
国内第3位の航空会社、スカイマークが苦境に立たされている。7月、国際線参入に向けて発注済みの大型機について、欧州エアバスがスカイマークに契約解除を通告するとともに、巨額の損害賠償を請求する方針が明らかとなった。その影響もありスカイマークは、同月31日に発表した2014年4〜6月期の単独業績決算で、事業継続に「重要な疑義」があると開示。その翌日から同社株価が続落した。

 さらに8月6日には、成田空港発着の国内線を10月下旬に運休する方針を固めた。国際線参入をにらみ11年に成田空港へ就航したが、エアバスから巨額損害賠償を求められる可能性も重なり、これ以上、不採算路線を維持するのは困難と判断したとみられている。

 一連の事態を受けスカイマークは、場合によっては経営破綻に追い込まれる可能性すら取り沙汰される事態に陥っているが、そもそもエアバスとのトラブルのポイントは、スカイマークが支払い資金の調達のメドも立てないまま、航空機購入契約を交わしてしまったことにある。しかもスカイマーク社が支払うべき購入代金は、契約締結時で約1900億円という巨額なもので、そのうちの約265億円を手付け金として前払いしていた。

 ところがスカイマークは残金の確保がままならなくなったため、エアバスに対して
当初購入予定だった6機のうち2機については納入時期を先延ばしした上で購入し、残り4機についてはキャンセルというかたちでの契約見直しを提案したのである(今月、スカイマークは全機の購入を断念したことが判明)。

 この提案をエアバスは拒絶し、手付け金の全額没収と700億円の違約金の支払いをスカイマークに対して求めることになったのだ。

「いくら一方的なキャンセルとはいえ、この種の契約で手付け金の全額を没収するというのは普通では考えられない。にもかかわらずエアバスがそれを強く主張してきたということは、契約上具体的な取り決めがあるとみていいだろう」(メガバンク役員)

●厳しい資金調達
 では、もし実際にスカイマークが違約金を支払うことになった場合、果たして財務的に耐えられるのであろうか。

「銀行借り入れなどが可能であれば、なんとかしのげるだろうが、果たして今のスカイマークに融資する銀行があるかどうか」(前出のメガバンク役員)

 そもそもスカイマークは、これまで無借金経営をセールスポイントにしてきた。しかしこれは、裏を返せば、同社にはメインバンクが存在しないということにほかならない。

「こうした状況下でメインバンクを持っていないということは、どの銀行もスカイマークを相手にしないでしょう」(同)

 さらに金融マーケットから直接資金を調達するのは、今のスカイマークが置かれている状況を考えると、銀行からの借り入れ以上に困難だろう。まさにスカイマークは、経営破綻寸前の状況に追い込まれた感も否めない。

 そこでスカイマークにとって最後の頼みの綱となってくるのは、国内大手2社の日本航空と全日本空輸だが、両社関係者はともに「今のところ当社にはなんの話も来ていないし、スカイマークについては興味もない」と口を揃える。

 さて次なる注目は、監督官庁の国土交通省がどう動くかだが、遠からずスカイマークが国交省の管理下に置かれる日が来る可能性もある。
(文=須田慎一郎/ジャーナリスト)
 

この記事を読んでいて、弊社に相談に来られるお客様に多い話と思いました。
弊社への相談案件で多いのは、現実の資金調達力を無視して、非現実的な経営目標を掲げて、とん挫している案件です。
まさに今回のスカイマークを見ていると、このレベルの経営判断の甘さで、驚いてしまいます。
スカイマークの経営者はきっとJALもANAも発注していないA380を発注することでスカイマークの存在感を高めようとしたのだと思います。
事実、私もものすごい違和感を感じたけれど、エアバス社が契約に応じたことで、スカイマークの資金調達能力は思っている以上に強いのかもしれないと思ったことは事実です。
スカイマークを利用しない私からすれば、LLCに毛が生えた程度の航空会社と思っていた印象が大きく変わったことは確かでした。
さらに、A380などの大型機の導入で、恒常的なパイロット不足を補う経営戦略だったのかもしれません。
中小型機が多く、パイロット不足に悩むLLC各社との差別化としては、理屈上は正しい理論だったのかもしれません。
でも、記事中にもあるように「いくら一方的なキャンセルとはいえ、この種の契約で手付け金の全額を没収するというのは普通では考えられない。にもかかわらずエアバスがそれを強く主張してきたということは、契約上具体的な取り決めがあるとみていいだろう」は、普通に考えれば、ありえないエアバス社の対応です。つまり、契約上の具体的な取り決めもでしょうが、スカイマークにきわめて悪質なエアバス社に対する不誠実なことがあったのではないでしょうか。
資金の支払いで蕎麦屋の出前のように、うそをつきまくって延ばすようなことがあったのではないかと推測します。
このあたりも弊社の相談に来られる、良質ではない部類のお客様によく見かける行動と似ています。
いついつまでに残金を支払わないと手付金が流れてしまうというのは、よく案件の相談で聞く話で、同じレベルのスカイマークの経営者の稚拙さを感じてしまいます。

そして、ぜひ中小企業の経営者の方に参考にしていただきたいのは、日常からの銀行との付き合いです。
ここからは私の推測ですが、スカイマークの経営者が無借金経営をセールスポイントにしてきたとことは、実は銀行などの金融機関に自身の経営にうるさいことを言われるのが嫌だったのではないかと思います。
よく言えば、航空業界の古い縛りの影響を受けないようにするには、既存勢力の仲間の銀行からお金を借りていては独自性が保てないと判断していたのかもしれません。
さもなくば、資金ニーズが大きなはずの航空会社で無借金なんて異常な状況が起きること自体不思議です。
もちろん、どこか大きな会社の子会社ということであれば理解できますが、確かスカイマークは独立系で、無借金経営というぐらいですから、資金調達を株式市場からの調達のみでまかなってきたのだと思います。
でも、この増資のみで資金調達を賄ってきたこと=資金調達力の選択肢がないことに等しく、特にメインバンク、言い換えれば、潰れてしまっては困る利害関係がある資金提供者がいないということですから、売上の70%程度の違約金が発生した経営の危機的状況になった現在、火中の栗を拾う奇特な金融機関は当然ながらあるとは思えません。
まして、現在のような経営の継続に極めて疑義ありの状況になってから、株式市場からの調達も難しく、忌憚なくいって破綻か、救済合併以外の可能性があるとは思えません。  

この話をそのまま中小企業にあてはめるのは少し違うかもしれませんが、中小企業も普段から懇意にする銀行や信金を持っておく重要性は同じです。
普段は銀行に頼らなくても資金繰りに苦労していない会社でも、その時は不要でも、借りれる時に融資を受けておくことは重要です。
自己資金で回っている会社の経営者にとって、銀行から借りるのは確かに面倒ですし、うるさいことを指摘されるようなこともあります。
金利も不要なコストと思われるかもしれません。
でも、長期の経営の視点から言えば、普段から一見無駄と思える融資を受けておくことは、経営を安定させるための保険だといっても過言ではありません。
もちろん、自己資本比率とのバランスの問題もあるけれど、特に中小企業にとって、いくら資金繰りが良好な会社でも、もしかの時のために、普段から資金調達の選択肢を確保しておくことは重要です。

スカイマークもメインバンクがあれば、そもそもA380を、資金調達の当てもないのに、売上の4分の一程度にもなる手付金を払ってまで契約することを容認しなかったでしょうし、破綻されては困る程度融資をすでに銀行から受けていれば、その保全のために、エアバス社との交渉に銀行自体が加わる可能性もあって、今ほどの苦境はなかったと感じます。
posted by bhycom at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 資金調達 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。