実践的資金調達原論 「思うように資金調達ができない方へ」worldheritage512_2_20120529004622.jpg

2014年08月13日

金融機関が好む決算書とは 2 (長期借入金÷(当期利益+減価償却費)=償還期間)

金融機関が好む決算書とは 1の続きです。
前回は具体例から次の4つポイントが金融機関は嫌がるという話をしました。
 
@現預金の額が小さすぎる 年商1億8千万円で40万円台は過小
A代表者貸付を短期借入金に計上している
B金融機関からの借入がまったくない
C債務超過の損失がまだ500万円ほど残っている

  
今日は、2つの数式の話をします。
@ 長期借入金÷(当期利益+減価償却費)=償還期間
A(固定資産ー純資産)/(経常利益×0.6+減価償却費))

これらの数式によって算出される数字も、長きにわたって銀行のプロパー融資に縁がない中小企業にとっては、もろに融資の可否に影響しないから、関係性が現実的にはなく、ピンとこないかもしれません。
そもそも最初から銀行は保証協会の保証が前提でないと融資をしないことがほとんどでしたから、数式がどうのこうのと言っても無意味なのは分かります。
ただ、政府系金融機関が融資を審査するときには大いに関係はありますし、今後、数年先にはスタートするかもしれない銀行の中小企業へのプロパーによるビジネスローンなどの無担保長期融資が始まると、融資の可否にもろ影響が出てきます。
また、現時点でも、ノンバンクからの融資において、まったく意味がないわけではありませんので、ぜひ融資をいつでも受けることができる状況にしておくためにも知っておくことは重要ですので、ぜひご参考にしていただければと思います。
  
@長期借入金÷(当期利益+減価償却費)=償還期間
この数式は融資の可否や、現在の財務状況から、どのような条件の融資なら受けられるかを考える時に役立ちます。
ご存知のように1年以内に返済する融資を短期借入金と言います。
長期借入金とは1年以上の融資期間の融資ことで、この長期借入金を受ける時の参考になります。
例えばあなたが、2000万円を融資期間5年の条件で融資を受けたいと思う時、直近の決算書の数字を入れていただきます。
もし、当期利益が100万円で減価償却費が100万円であれば、次のようになります。

2000万円÷(100万円+100万円)=10

この10と言う数字は、借入金は当期利益と減価償却で返済することになるから、前期の状況が継続すれば10年で返済できると言う数字になります。
ご存知のように無担保融資10年と言うのは現実的ではなく、無担保融資の場合は3年、良くて5年と言うのが現実的な条件です。
つまり、銀行が中小企業に無担保の長期融資をスタートしたとしても、よほど銀行の貸出競争が激化しているような状況でもなければ、融資期間5年は難しくなります。
前期決算の当期利益+減価償却の合計が2倍位ないと現実的には2000万円を5年で返済することができないからです。
ただ、今期の業績が上向いていて、試算表で、業績が上向いている状況が確認でき、今期決算では当期利益が300万円ぐらいになりそうな予想ができる場合は、こののびしろを考慮して融資を受けることができる場合もあると思います。
ここで認識していただきたいのは、前期の決算書の数字、特に当期利益は融資の可否や融資額に大きな影響を与えると言うことです。

本当に最近、決算書を拝見して思うのは、デフレが長く続き景気が良くなかったこともあって、赤字決算を続けている会社が非常に多いことです。
問題は、経営者の方の中には、赤字決算がいかに融資を受ける時悪影響を受けるかをまったく認識していない方がいることです。
前期が赤字決算なのに、無担保で融資を受けたいと言っても、そんなことは本来あり得ないことだと実感されていない方がけっこう多いのです。
今は、中小企業にとって企業与信だけの無担保融資は非常に難しいから、ピンと来ないのだと思いますが、1回赤字決算をすれば2年間ぐらいは融資が受けにくくなると思っていただきたいのです。
だから、決算書の内容はとても重要で、このことも認識していない経営者もけっこう多く見受けます。
中には節税に非常に熱心な経営者もいます。
でも、この数式を考えれば、節税で税金の額が圧縮できたとしても、「節税=当期利益は小さくなる」訳ですから、融資が受けにくくなると言うこともぜひ認識してほしいのです。
節税と融資は両立しません。
この部分は非常に重要なことなのでぜひご認識いただきたいと思います。
    
また赤字決算と言うのは、その赤字額に関わらず融資には本来的に、ものすごく悪影響を及ぼします。
赤字か黒字かは、その額に関わらず、融資を受ける時、前期が赤字と言うだけで、少なくとも初印象が非常に悪くなりますし、これだけで融資の条件に合わないこともあります。
実際、以前中小企業にもビジネスローンと言う、無担保の長期融資が華やかなりしころの話になりますが、広範囲に数多くの会社に融資が行なわれていたにも関わらず、前期赤字と言うだけで、融資はNGであることがほとんどでした。
だからこの頃は粉飾決算も多かったです。
オーバーだと思われるかもしれませんが、赤字決算をしたら、無担保融資は2〜3年ものすごく受けにくくなるぐらいの危機感を持っていただきたいと思います。
ところが中には、当期赤字8万円なんて決算書を見たことがありますが、このような観点から言えばあり得ない決算内容だと思いませんか?
どうして、このような小さな赤字を出したのか聞くと、だいたい帰ってくる答えは、決算など経理業務は、税理士に任せているとか、経理担当者に任せていて、気付いた時は決算日の2日前で時間がなかったと言うようなことが多いのですが、これは資金調達を考えると、何をしているんだ!この経営者は!と本音では思ってしまいます。
常々思うのは、上場会社にでもならない限り、財務や経理は人任せではいけないと私は思っています。
人任せにしたことで赤字決算をしたことが、どれほど資金調達に悪影響があるのか。
ぜひ、特に財務や経理を人任せにしている経営者の方にはご認識していただきたいと思います。
posted by bhycom at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 資金調達 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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