実践的資金調達原論 「思うように資金調達ができない方へ」worldheritage512_2_20120529004622.jpg

2014年08月01日

ファイナンスの3要素+1要素

前の記事 ファイナンスの3要素  をご覧いただき、違和感を感じた方もいらっしゃると思います。
投資会社やベンチャーキャピタルのファイナンスには当てはまらないと・・・・
  
その通りで、あと、ファイナンスの一要素として、会社の将来性、事業の将来性が要素として加わります。
ただ、この要素をコアにしてのファイナンスは、現実的に難しいだけでなく、経営権などリスクが低いとは言えないので、昨日の3要素とは同一視できない性格があるので、昨日は取り上げなかったのです。
まず銀行ですが、会社の将来性、事業の将来性を前提として融資を行なう銀行があるかと言えば、ないとは言いませんが、日本には表面的、あるいは実体としては非常に少ないのが現状です。
むしろ、小泉&竹中の金融改悪前の方があったと言うのが実情です。
最近の銀行は、デフレ経済が継続していたこともありますが、総じて元気がなくなりました。
そりゃ、つぶれなくても良かったUFJ銀行が、小泉&竹中の暴挙でぶっ潰され、三菱東京の傘下に入らされたなど、多くの銀行が潰されましたし、当時、90年代のバブル崩壊で不良債権に悩まされていた金融業界を、利用客への配慮もなく、外資に都合にいいようにハードランディングさせられたのですから、元気がなくなるのも当然です。
小泉&竹中の金融改悪以前は支店長決済と言って、まだ、それほどの状況でない会社に、支店長が、事業性と社長の人間性を評価して、無担保で3億円融資したなんて逸話がありました。
有名な話では、TSUTAYAのCCCの創業時代、住友銀行の枚方支店の支店長が無担保融資をしたことが、その後の同社の成功につながったとか。
真実は分かりませんが、このような逸話は良くある話でした。
もちろん、上手く行った話ばかりでなく、支店長の判断が間違っていて、融資先が破綻したケースの方が、多いと言えば多いかもしれません。
このような支店長決済は、銀行担当者と取引先の癒着につながり、情実融資の温床になると、あの金融改悪でほぼ根絶されてしまったのです。
日本の銀行は投資銀行でもないのに、外資と比較して非効率と言う1点で、金融機関の経営効率を高めると言うことで、融資担当者の数は減らされ、普段から顧客の会社と密接なコンタクトができなくなったのですから、支店長の裁量で融資なんてことができなくなったのも当然です。
さらにシステム上もルール上も、支店長と言う職責自体がなくなったり、あるいは部長と言う職責に変わったり、いずれにしても、行員の決済権限が大幅に削減されました。
また、積極的な多くの行員が左遷され解雇されたことで、行員自体の多くが安全運転第一になり、事業の将来性だけで銀行が2億も3億も融資するようなことは本当に少なくなったと思います。
だから、事業の将来性を中心に判断するファイナンスは、投資会社とかベンチャーキャピタルとか、エンジェル的な投資家の範疇になりました。
   
ただ、ここで多くのお客様が勘違いされていることを書きます。
この間も、沖縄の会社のまさに事業の将来性を担保に5億円の調達ができないかという案件の相談がありました。
申し訳ないけれど面談することもなくお断りしましたが、この種の案件はこの仕事をしていると本当に多いものです。
この種の案件の多くに共通しているのは独りよがりですが、今回もそうでした。
事業概要や事業計画書には、いかに新しい事業の事業性が優れているか。
市場の分析も書かれていて、いかに市場性も高いかと、良いことばかりが書かれています。
ただ、では当該事業での実績があるかと言えば、まったくなく、5億円の調達ができれば一気に市場を席巻して、資金繰りも問題なく大事業になり会社も発展すると言った計画が書かれているのです。
プレスリリースもありますが、忌憚なく言って、ないよりはマシですが、プレスリリースがあったからと言って資金調達につながるわけではありません。
100%とは言いませんが、申し訳ないけれど、そもそも、現在の売上が数千万円の会社の、まったく実績がない新事業に対して5億円を出すところがあるのかと言えば99。9999・・・%ありません。
多分この会社の社長も、逆にお金を出す立場で考えれば、5億円もファイナンスするわけはないと思うのですが・・・。
確かに、このように事業や会社の将来性、つまり将来価値を前提に検討するのは投資会社やベンチャーキャピタルやエンジェル的投資家です。
でも、この将来価値を判断して資金提供する投資は非常に難しいものがあります。
少なくとも、いくら商品価値や市場性が素晴らしいと説明されても、私ももちろんそうですが、投資サイドからすれば、あらゆる業界に通じていることはなく、はっきり言って、持ち込まれた案件の業界や商品について素人である場合がほとんどなのです。
だから、分厚い事業計画書などを渡されても、まさに猫に小判。
何が書かれているのか分からないことが多いのが実情です。
万一、持ち込まれた案件の業界に通じていたとしても、投資対象の事業が多少でも具現化していないと、要はヒストリカルなレコードが少しはないと、、お金を出す側からすれば検討のしようがありません。
特に、今回の会社の場合は沖縄の会社で、この部分だけでも、東京の投資会社は積極的にはなれません。
何が言いたいのかというと、事業の将来性をファイナンスにつなげようとするためには、それ相応の手順を踏んで、資金提供すれば、高い確率で事業が発展しそうだと言う、事業の具体性をより明確に見せることができる段階でないと、いくら素晴らしい事業だから投資して欲しいと言っても、どこからも資金調達できないのが現実的な話なのです。
その点、未来のエクセレントカンパニー で取り上げた会社の場合はまったく違います。
事業の将来性を担保に資金調達を計画しているのは同じですが、事業の具体性がまったく違います。
すでに、同社の場合は、その事業での売上が年商で数億円あり、受注の多さに資金調達が間に合わないという、現実的な実績があるのです。
さらに、私のような素人から見ても、商品が分かりやすく市場性も明確です。
この会社なら、すでにエンジェル的な投資家がつきそうな状況であることもわかります。
先ほどの会社に戻りますが、沖縄の会社ですから、地元の濃い人脈の中の投資家あるいは投資会社、地元ベンチャーキャピタルなどから、まずは資金提供を受けることです。
この資金が5億円に満たない場合でも、調達した資金でとにかく当該事業の商品の販売を小額でもいいから上げて、最低レベルの実績を作らないと、5億円の資金調達など、単なる夢物語でしかないのです。
   
以上のように、ファイナンスの要素の中に、確かに事業の将来性あるいは将来価値という要素もあるのですが、昨日の3要素の中に取り上げなかったのは、まったく違う種類のものであると考えるからです。
弊社では基本、将来価値によるファイナンスを積極的には行っていません。
でも、未来のエクセレントカンパニー で紹介した会社のレベルまで事業の実績や具現性が明確であれば、もちろん、お取り扱いをしています。
ただし、弊社の場合、現時点ではITおよびバイオ関連の案件が取り扱いしやすい状況になっています。
ファイナンスの要素は、与信・保全・返済原資&将来性とご理解いただければと思います。
posted by bhycom at 02:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 資金調達 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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